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京都吉兆嵐山本店
京都を代表する景勝、嵐山の渡月橋から程近くに建つ「京都吉兆嵐山本店」。観光客の行き交う通りから門の中に一歩入れば、静寂の空間が広がっている。
京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町58
http://www.kyoto-kitcho.com/
リクルートの就職支援サイト「リクナビ」に、面白い求人広告が出ている。筆記試験・面接などの選考方法、給与や福利厚生といった情報そのものに特別変わった点はない。しかし広告を出してる会社名を見れば、誰もが「あっ!」と声を上げるのではないか。高級料亭の代名詞ともいえる「京都吉兆」なのである。
リクナビを通じて入社した「先輩たちの出身校」を見ると、さらに驚きは増す。京都大学、神戸大学、慶應義塾大学、上智大学、関西大学、立命館大学、同志社大学、神戸女学院大学、奈良女子大学・・・・。有名大学の名前がこれでもかと並んでいる。北海道から沖縄まで、全国から集まった才媛たち。ここでは「大学出の仲居さん」が当たり前になっている。女性ばかりではない。大卒の男性が接客にたずさわっている店舗もある。これまで料亭が男性を募集するといえば、板場に限られていたものだが・・・・。
「フランスにMOF(国家最優秀職人)ってありますよね。フランス版の人間国宝みたいな。あれはシェフやパティシエだけじゃなくソムリエやギャルソンも受賞するんですよ。『サービスを担当する人』の地位は日本ではまだまだ低いけれど、プロとして尊敬されるような存在に向上させたい。会社説明会ではそんな話をします。一緒に世の中を変えていこうと。最近は大企業が求人を増やしてるんで、うちも苦戦してますが、ピーク時には20人の募集に1600人ぐらい応募がきました。料亭がネットで求人なんて、いまだに珍しいと思うけど、我々も時代に適応していかなきゃいけない」
そう語るのは、嵐山本店・総料理長の徳岡邦夫。創業者・湯木貞一の孫に当たる。現在の吉兆は湯木の子供や孫によって、大阪・高麗橋、東京、京都、大阪・船場、神戸の5グループに別れ運営されている。京都吉兆は嵐山のほかに京都リーガロイヤルホテル店、祇園花吉兆など6店舗を構える。徳岡は京都吉兆の専務取締役を兼ねるから、旗艦店の味を守ると同時に、京都グループ全体の経営を考える立場にもある。
「別に有名大学の人が欲しいわけじゃなく、意識の高い人を求めたら結果的に集まってしまったんです。料理屋なのに筆記試験をやるのは、それなりの覚悟をもって受けてほしいから。エントリーの書式も、他の会社みたいな3択ではなく、筆記式で将来の夢を語ってもらう。応募する段階で、『喫茶店でウェイトレスをやるのとは違うんだな』と意識しますね」 |
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