徳岡邦夫(以下徳):ええ、それでは、京は手みやげについて、といくことで(笑)
千宗屋(以下千):(間髪入れずに)昔から「手みやげは薄うて軽いもんが一番」と言いますなあ。
池坊美佳(以下池):賛成!
徳:ウチの祖父もよく言ってました。便利券(お礼)が一番ええなあって(笑)。
千:おもしろい話がありまして。 ある地方に、なかなか手に入らない銘菓があるんです。これが大きくて重い。個数限定ですから、その地方では、それをご挨拶に持っていくことが一種のステータスになっている。そのお菓子を、その地方の方が競って持ってこられるものだから、あるお家にはそれが山積みになっている。で、ある時、「もっと軽いものがええわ」と冗談におっしゃったら、あくる年から、その地方からは「軽い」千菓子が大量に届くようになった。
徳:ハハハ。手みやげは、やはりお菓子が多いんですか。
池:昔は、お菓子だけということはなかったのではないでしょうか。何かに添えて、お持ちするものだったのように思いますが。
千:ご祝儀やご挨拶に添えて持っていくお菓子や果物のことを、我我はよく「台代わり」と言います。上に載せて相手にお出しするわけで、まさに「台」(笑)。
徳:千家や池坊家のように、文化的なお家ではなく、一般のご家庭ではどうなんでしょう。
池:最近は、お菓子は減っているのではないですか。
徳:とくに和菓子は減っていますね。
千:もらってうれしいのは、洋菓子ですか、和菓子ですか。
池:おいしいなら、和菓子。