池:常識の範囲内だと思うのですが、「場を読む」ということが大事だと思っています。核家族なのに、どうやって食べればいいのという量をくださる方がいる。ずっしり重い羊羹とか、食べても食べても減らないクッキーとか。
千:ハハハ、あるある。
池:家族構成とか考慮していただけるとありがたいな、といただく側として思うことが多いので、相手のご迷惑になるようなものは避けますね。また、生ものは金曜日には持っていかない。出張の多い方に生ものを差し上げるときには、必ず事前に確認する。そんなことに気をつけています。
千:日本の文化は「察する」文化なんですね。手みやげは、その最たるものだと思います。相手の事情を察する、また、手みやげを通して気持ちを察し合う。それが大事なことだと思います。
徳:うちはとくに決まり事はありません。強いて言えば、自分が納得したもの、分かっているものをお持ちしたいですから、どうしても自分とこのものになってしまいます。それなら、食材の産地や品質もしっかり把握してるし、相手の好みや体調に合わせえて、味を変えることもできますから。
池:お花の場合は、時期の少し前に、来たるべき季節を感じていただけるように、ひと足早いお花を集めます。
千:手みやげの基本は、自分でもらってうれしいもの。東京のお菓子屋さんで、もともと京都のものなのに、そこのものを東京からわざわざ「東京のお菓子ですが…」と、お持ちになる方がいらっしゃる(笑)。そこの角、曲がったところが、そのお店なんですけど、と言いたくなってしまう。
池:ありますね、そういうこと。私は、手みやげで「驚かせたい」から、おふたりには和菓子は贈りたくないですね。何をお持ちしても驚いていただけそうにないから。とくに、徳岡さんには食べ物をお持ちしたくないですね。
千:僕も、池坊さんにお花は持っていきたくないな。