二○○四年秋に引き続き二度目の"舞台≠ナある。前回は、京都・祇園から舞妓・芸妓を引き連れ、和蝋燭や器を持ち込み、京都の情緒も感じさせながらの試みであった。評価は高く、料理が終わり、『嵐山吉兆』の徳岡邦夫さんが厨房から客席に姿を現した途端、スタンディングオベーションであった。だが、彼は心の内で「納得がいかない。素材も思ったものが揃えられなかった。もっときちんと調べるべきだった。演出に頼るべきではない。リベンジの機会が欲しい」と叫んでいた。
その機会がやってきた。今回は京都や日本の情緒を感じさせる演出は皆無である。彼の言葉をして「皿の上だけで勝負します」と。皿もすべて会場となるホテル『メリディアン・トリノ・アート+テック』の什器・備品を使う。