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日本料理を世界に発信する意識と楽しさ

いよいよ本番がやってきた。スタッフにも気合が入る。厨房からホールへの動線を再確認。『嵐山吉兆』では、毎日仲居さんとの打ち合わせが綿密におこなわれる。客一人ひとりの好みやアレルギーなど事細かくチェックを繰り返す。ここでは客の顔が見えない。日本料理に興味を持つ人たちが集まっている。キャンセル待ちが多数でるほどの人気というくらいの情報しかない。

前回は日本酒や舞妓や芸妓が酌をするというサービスもあったが、今回はソムリエに任せワインで通した。彼の中で大きく変わったことは、食べての気持ちを意識したことだ。『吉兆』の創始者・湯木貞一さんが「世界之名物 日本料理」と書いたように、日本料理を世界に伝えようとしていたのだ。『嵐山吉兆』に来られる方には『嵐山吉兆』の雰囲気を含め味わっていただくことができる。だが海外では事情が異なる。現地の素材を使う。全ての素材や器を日本から運ぶのでは、決して日本料理を伝えたことにはならない。ある種の同化を含め、相手の懐に入らなければ伝わらない、と。したがってワインを供し、ナイフ・フォークを多用したのだ。

無地の真っ白な皿が、日本の美にかわっていく

右:八寸を盛りつける。これは全員参加でテンポよく進む。まるでキャンバスに描かれた一幅の絵画のようである。開始前のいちばん緊張感が高まる時間。緊張と緩和が交互に。

下:今回のディナーはすべてワインで通すこととなった。それらのチェックはソムリエがしっかりとおこなう。テイスティングも真剣そのもの。器もホテルのものを使い、アルコールもワインを選択するなど、現地とのコラボレーションに重きを置いているころが分かる。それが新たな展開を生む。

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