『源氏物語』の主人公、光源氏のモデルとされる源融(みなもとのとおる)の山荘「棲霞観(せいかかん)」に、融の没後、阿弥陀堂を建てて棲霞寺としたのが始まりと伝えられる清涼寺。
「嵯峨釈迦堂」の通称で呼ばれる当時の本尊は体内に絹の五臓六腑を内蔵したインド伝来の釈迦如来立像で、名釈迦の一つに数えられる国宝。この様式の釈迦像を清涼寺釈迦像と呼ぶそうです。
桜の見ごろの四月には霊宝館の特別拝観と当寺に伝承される「嵯峨大念仏狂言」が演じられます。また、当寺の一画に「小倉百人一首の殿堂(仮称)」が建設される計画が進み、和歌や伝統芸能のメッカとなる予定です。
【清涼寺】 京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町 TEL.075(861)0343 拝観料 400円 拝観時間午前9時~午後4時 市バス・京都バス「嵯峨釈迦堂前」下車
八世紀に渡来人の秦氏が造成したとも、十世紀に遍昭寺創建の際に築造されたとも言われる灌漑(かんがい)用溜池。大沢の池同様、平安時代より月見の名所であったらしく「散る花に 汀(みぎわ)ほのかの影そひて 春しも月は広沢池」と藤原定家も詠み、つきと花の名所であったことを伝えています。
たおやかでやさしげな遍昭寺山の麓に広がる池、その畔の山桜と茅葺きの農家の風景ともいうべき佇(たたず)まいで、この鄙(ひな)びた風景には山桜こそふさわしく、懐かしい里の風景画広がります。
【広沢の池】 京都市右京区嵯峨広沢町 市バス・京都バス「広沢御所ノ内町」下車
京のさくら紀行 洛西の桜