妙心寺は、暦応年間(1338~42)に花園天皇の発願によって天皇の花園離宮を禅苑として創建されました。その三門西側の退蔵院は四十余りある塔頭の中でも名刹(めいさつ)として知られる寺院。狩野元信作庭の枯山水庭園や禅の公案をテーマとした「飄鮎図(ひょうねんず)」、水琴窟(すいきんくつ)など貴重な文化財を有することでも知られています。
当寺のもう一つの庭「余香苑」は、昭和の名庭園と呼ばれ植え込みや植栽、遣水(やりみず)などの配置や工夫で奥行きと広がりを感じさせる庭。枝垂桜の咲く春はことに伸びやかな春景色が楽しめ、夜のライトアップも幻想的です。
【妙心寺 退蔵院】 京都市右京区花園妙心寺町 TEL.075(463)2855 拝観料400円 拝観時間 午前9時~午後5時 市バス「妙心寺前」 JR「花園駅」下車
平安時代末期の大治五年(1130)、鳥羽天皇の中宮、待賢門院璋子(しょうし)によって建立された古刹(こさつ)で、待賢門院が「奈良の都の八重桜」を強く所望したため、奈良興福寺の枝垂桜を移植して本道前に植えたと伝えられています。
その桜は枯れましたが、やはり奈良東大寺からもらい受けた芽を接ぎ木して育てた枝垂桜が今、池の畔彩(いろど)ります。「待賢門院桜」と呼ばれるこの桜は光によって紫色に見えることから「紫桜」の異名もあります。
【法金剛院】 京都市右京区花園扇野町 TEL.075(461)9428 拝観料 400円 拝観時間 午前9時~午後4時 市バス「花園扇野町」下車 JR嵯峨野線「花園駅」下車
京のさくら紀行 洛西の桜