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技術の国際的な交流を目的とする料理学会は世界各国からシェフを招聘し、インターナショナルなメンバーで構成されるケースがほとんど。その学会で近年必ず話題に上がるのが、日本料理と日本の食材だといわれる。学会が始まったばかりの2000年代前半、世界の舞台で日本人代表としてまず招かれるのは、海外で活躍する「ノブ」の松久信幸氏や「テツヤズ」の和久田哲也だった。次第に日本を拠点に活躍する料理人の参加も増え、今では「吉兆」の徳岡邦夫氏や「龍吟」山本征治氏が学会の常連になりつつある。特に「龍吟」の山本氏は04年のサン・セバスチャンの学会参加を機に、日本料理の技術を科学的アプローチで洗い直す作業に取り組んできた。今回は鮎の炭火焼、ウナギの炭火焼、鱧の骨切りを取り上げ、科学的な分析を詳細に映像に落とし込んで、わかりやすさでも群を抜く発表になっていた。また、初の学会参加となった「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」の成澤由浩氏は「土、火、炭、水」をテーマに掲げ日本特有の精神世界を漂わせつつも、客観的に素材を分析する現代的アプローチは忘れず、存在感のある皿を披露した。成澤氏のように日本料理以外の日本人シェフが、今後、世界の学会でどれだけ必要とされていくのか、動向が気になるところだ。
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