そして、政治家部門では、ポスト小泉戦線に勝ち残り、新たに首相に就任した安倍晋三氏が選ばれた。
首相就任から1ヵ月経過した安倍氏について、ジャーナリストの田原総一郎氏は、「予想外に好調」と評価する。
「安倍氏については、就任前から、ほぼ当確といった声が高かった。首相に就任したこと自体は、何の意外性もない。でも、首相に就いてからの彼は、今までの政治になかったような、サプライズが満載です」
就任間もない現在、世論調査での支持率は70%という異例の高さを誇っている。就任直後の衆議院補欠選挙にも、神奈川、大阪において自民党が2連勝を上げた。これも当初の予想に反する好成績だった。
「安倍氏は歴代首相の中で最も若い。その若さは魅力であるけれど、若いからこそ、経験不足だと感じていた国民は多いでしょう。しかし、タカ派として知られた安倍氏だけに、右翼的暴走をするのではないかとも危惧されていた。でも就任後のかれは、非核三原則を語り、ソフトな外交を行っている。その姿勢に、安心感が生まれてきたと同時に、今までの日本政治になかった、若さへの期待が高まってきたのでしょう」
これに困惑を隠せないのは、民主党だと、田原氏。改憲を語り、右へ走ると思っていた安倍氏に対抗しようとしていた小沢民主党は、その姿勢に肩透かしを食らったはずだ。
「でも、自民党内にも安倍氏の予想外の手腕に戸惑いがあると思いますよ。彼は首相補佐官や、官房副長官を増やし、組織的に官邸の力を強めている。また、小泉首相から築いた、派閥のない、新しい自民党政治を維持する姿勢を示しているんですから」
なぜ安倍氏、党内の政治家たちも驚くような行動に出たのだろう。
「彼は、自分が小泉氏ほど強烈な個性を持っていないことを知っている。その上で、自分なりの政治をしていくためにも、こうした組織的な官邸の力が必要だったんです」