「あっという間の1年だったといのが率直な感想ですね」
この1年を振り返り、USEN宇野康秀社長は柔らかく微笑んだ。
うの社長の2006年は、その言葉の通り、多忙を極めた。3月にライブドアの提携相手として名乗りを上げ、5月にホテル管理システム開発のアルメックスを買収。7月には、宇野社長自らが創業した人材派遣大手のインテリジェンスをグループ会社化した。また、“放送と通信の融合”という概念の実現化に成功したブロードバンド放送「GyaO」は、現在登録者数1200万人を越え、なお成長しつづけている。
事業展開はもはや「IT長者」という枠組みには収まらず、彼の実行力は抜きん出ているのだ。
そのビジネスの発想は、一体、どこから生まれてくるのだろうか。そう問いかけると、宇野氏は軽く首を傾ける。
「特別な情報を集めているわけでも、難しく考えているわけでもありません。ただ『こうなったら便利じゃないかな』という発想を大事にしています。そういう発想は、以外に社会のニーズを反映しているもの。それをどうやって実現していくかが、ビジネスのチャンスにつながっていくんです」
若手実業家の旗手の語り口は、どこまでも優しげで、自然体だ。
「子供のころに思っていた『大人』にまだなれてないじゃないかな。子供っぽいんでしょうね」
その“自然体”が、新たな時代を切り拓いていく秘訣なのかもしれない。
1963年大阪府生まれ。88年、明治学院大学法学部卒業、リクルートコスモス入社。89年インテリジェンス設立。98年、創業者である父・宇野元忠の跡を継ぎ、大阪有線放送社(現USEN)代表取締役に。 www.usen.com