このほど私は初めて自分の本を出しました。『嵐山吉兆 春の食卓』がそれです。家庭料理の本ですが、普通のレシピ本と違って、材料のグラム数など一切載せていません。その代わりに作り方を懇切丁寧に書きました (今回のProst!では、目安としての材料を載せました)。といいますのも、料理には「決め」の味はないと思うからです。はかりでグラム数を計ったりして作る料理はつまらないし、その人の味にならない、また、料理は食べて下さるシチュエーションによって味付けや盛り付けを変えていくもの。そういう意味で、細かい決めは省いたのです。嵐山吉兆の徳岡の料理の作り方はあくまで「参考」。自分なりの創造をしてほしい。そして自分の気持ちを家族や愛する人に表現してほしい。それができるのが料理なのです。
徳岡邦夫 kunio tokuoka 京都吉兆 嵐山本店 総料理長 1960年生まれ。「吉兆」の創業者・湯木貞一氏の孫にあたる。15歳のときに京都吉兆 嵐山本店で修行を始める。1995年から京都吉兆の料理長として現場を指揮している。2007年2月初の著作となる『嵐山吉兆 春の食卓』(バジリコ刊・1575円)を出版。以後、夏、秋、冬と刊行の予定。
京都吉兆 嵐山本店 所 :京都府京都市右京区嵯峨天龍寺寺芒の馬場町58 電話:075-881-1101 営業:11:30~15:00(LO13:00)、16:30~21:00(LO19:00) 休 :水曜 http://www.kyoto-kitcho.com/
prost 男を上げる「和食」 2007年Vol.01