当日の朝、心静かに茶を掃く。水屋をととのえ、露地に水を打ち、茶室に掛けたのは「億劫」の軸。一年前、松源院の老師が迫力の筆で檀さんの初茶会に、としたためてくださったものです。「億劫相別而須臾不派離」大徳寺開山、大燈国師のこの言葉は宇宙的な永遠の時間とほんの一瞬(須臾)、刹那をとらえ悟りというものを教えてくれます。連載でどっぷりとお茶漬け≠ニなりつつも、この道の奥深さに、「亭主なんて永遠に無理!」と思っていた檀さんにも、しかし一刻一刻と「ダンフミ茶会」の瞬間は迫ります。泣いても笑っても一期一会。覚悟をきめて、いざ。
※初茶会が行われたのは、紅葉まっ盛りの昨年十一月。檀さんの好みに合わせて「丸久 小山園」でブレンドした薄茶。銘は父・一雄さんと檀さんの名前から一字ずつとって、「一文の白」。檀さんは精神を集中させ、丁寧に茶を掃く。