【トリノに行く前にジャコモ氏から寄せられたメッセージ】
ジャコモ・モヨーリからのメッセージ
イタリアや世界を数多く旅して、多くのレストランを訪問しますが、文化的にも、人間としても、豊かな気持ちで刺激を受けて帰途につくことは、非常にまれだといえるでしょう。そのような貴重な経験の1つ、私が大切な宝物としているものに、吉兆訪問と、徳岡邦夫氏という、食と人生のマエストロとの出会いがあります。徳岡さんが、サローネ・デル・グストのために、トリノに来られることを承知していただいたということは、私にとってもスローフードにとっても、素晴らしいことです。徳岡さんのように、一流でありながら、シンプルな人物によって、イタリアのそして世界の人々に、その食文化をプレゼンテーションできるということは、トリノで行われるイベントのクオリティという面から、非常に重要なできごとと言えることでしょう。
芸術・文化を表現する場所として、吉兆は日本人の伝統と歴史の重要な一部分を代表するものです。このイベントが、日本とスローフード協会の絆を深めてくれるものになると、私は大いに確信しています。そしてこの晩餐会のような重要な食イベントが、自身の仕事に対する大きな情熱と、環境・素材を尊重する気持ちから実現されているものであるということを、きっと理解していただけることと思います。
トリノでお待ちしています。良い旅を。
敬意と、我々の間に生まれた真摯な友情をもってお迎えします。
ジャコモ・モヨーリ●スローフード・ジャパン名誉会長
邦訳●石田雅芳・スローフード協会 日本担当
Giacomo Mojoli/ジャコモ・モヨーリ●1955年生まれ。元国際スローフード協会副会長。現在は日本担当理事。ミラノ大学哲学家卒業後、数年間にわたりコミュニケーション、マーケティング、広告言語の分野で教鞭をとる。その後、食、ワイン評論家として活動。『Italian
Wine』、『Wines of the World』などの著書がある。ガンベロロッソ社とスローフード協会が共同で出版する『Vini
d'Italia』では最終選考委員の一人を務めている。近年はスローフード協会のイタリア国内外の公式スポークスマンとして、国際的連係に取り組む。またイタリア内外の20の都市が参加するスローシティ・ムーブメントにおける公式代理人、更には、『生物多様性を守るためのスローフード基金』のメンバーとしても、イベントの立案、運営などに当たっている。また、ガストロノミー、ワインの専門家として、RAI(イタリア国立放送)を始めとするテレビ、ラジオの番組制作にも関わっている。
石田雅芳(いしだ まさよし/Masayoshi ISHIDA)●1967年福島県生まれ。スローフード協会イタリア本部、唯一の日本人スタッフ。同志社大学文学部文化学科、美学及び芸術学専攻卒業。専門はイタリアルネサンス美術。同大学大学院で修士号取得後、1994年ロータリー財団の奨学生として、イタリアのフィレンツェ大学へ留学。現在もフィレンツェに滞在し研究を続ける。1998年フィレンツェ市の公認美術解説員となる。2002年よりスローフード協会本部の日本担当として活躍中。
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