【イベント終了後にジャコモ氏から寄せられたメッセージ】
Text by Giacomo Mojoli Photo by Chiiho SANO
どうしても言っておきたいことがあります。今や20年もの間、ガストロノミー、食文化、地域人類学に携わっていて、この長い期間のなかで、生産者、漁師、畜産家、チーズ職人、ワイン生産者など、何千人もの人々と交流し、何千ものレストランを訪ね、何百もの料理人と個人的に知り合いになりました。
長い時間をかけて彼らの仕事について、その具体的な仕事について、キッチンの内外で会話をしてきました。レストランにおいて何百もの文化的な夕食会をオーガナイズしましたし、レストランで行われる何千もの公共イベントに参加しました。その経験をふまえて言いたいのは、今回のサローネで、徳岡氏による夕食会の終わりに起こったように、一人のシェフにこれだけの長い、そして心からの拍手がされている場面には出会ったことがありません。
あたかも劇場で行われる重要なステージの、初日にでくわしたような感覚でした。または拍手が鳴り止むことがない、例えばホセ・カレーラスが歌う劇場にいるかのよう。私にとっては大変な感動のシーンでした。
徳岡さんの友人であり、彼とそのレストランの信奉者であることを、世界中にアピールすることができ、私は心から誇りに思いました。またスローフードで、お会いできるのを楽しみにしています。お元気で!
ジャコモ・モヨーリ●スローフード・ジャパン名誉会長
邦訳●石田雅芳・スローフード協会 日本担当
Giacomo Mojoli/ジャコモ・モヨーリ●1955年生まれ。元国際スローフード協会副会長。現在は日本担当理事。ミラノ大学哲学家卒業後、数年間にわたりコミュニケーション、マーケティング、広告言語の分野で教鞭をとる。その後、食、ワイン評論家として活動。『Italian
Wine』、『Wines of the World』などの著書がある。ガンベロロッソ社とスローフード協会が共同で出版する『Vini
d'Italia』では最終選考委員の一人を務めている。近年はスローフード協会のイタリア国内外の公式スポークスマンとして、国際的連係に取り組む。またイタリア内外の20の都市が参加するスローシティ・ムーブメントにおける公式代理人、更には、『生物多様性を守るためのスローフード基金』のメンバーとしても、イベントの立案、運営などに当たっている。また、ガストロノミー、ワインの専門家として、RAI(イタリア国立放送)を始めとするテレビ、ラジオの番組制作にも関わっている。
石田雅芳(いしだ まさよし/Masayoshi ISHIDA)●1967年福島県生まれ。スローフード協会イタリア本部、唯一の日本人スタッフ。同志社大学文学部文化学科、美学及び芸術学専攻卒業。専門はイタリアルネサンス美術。同大学大学院で修士号取得後、1994年ロータリー財団の奨学生として、イタリアのフィレンツェ大学へ留学。現在もフィレンツェに滞在し研究を続ける。1998年フィレンツェ市の公認美術解説員となる。2002年よりスローフード協会本部の日本担当として活躍中。
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