―私はいま50歳なんですけど、料理が好きでよくつくっているんです。食事のために必要に迫られてつくっているわけではなく、自分にとって、料理は自己表現なんです。
徳岡:料理に限ったわけではなくて、なんでも本気で一生懸命やったものが、成果となって表れて、たくさんの人に評価してもらえたら、そんなうれしいことないでしょう。自分の存在価値を実感できるからです。それが自己表現だと思うんです。料理もそのひとつ。ただ、あくまでも相手ありき。これが自分のつくりたかったものなんだ!で終わってしまっては、自分の存在価値は高まらない。それを奥さんでも、家族でも、多くの人に食べてもらって、喜んでもらえたら、存在価値はバリバリ高まるわけですよ。そのために料理をつくるべきだと思うんですね。