このほど私は初めて自分の本を出しました。『嵐山吉兆 春の食卓』がそれです。家庭料理の本ですが、普通のレシピ本と違って、材料のグラム数など一切載せていません。その代わりに作り方を懇切丁寧に書きました (今回のProst!では、目安としての材料を載せました)。といいますのも、料理には「決め」の味はないと思うからです。はかりでグラム数を計ったりして作る料理はつまらないし、その人の味にならない、また、料理は食べて下さるシチュエーションによって味付けや盛り付けを変えていくもの。そういう意味で、細かい決めは省いたのです。嵐山吉兆の徳岡の料理の作り方はあくまで「参考」。自分なりの創造をしてほしい。そして自分の気持ちを家族や愛する人に表現してほしい。それができるのが料理なのです。